麻は、人類が繊維を得るために最初に栽培した植物のひとつで、エジプトでは紀元前1万年頃にはすでにリネンが栽培され、紀元前5千年には衣服に用いられていました。 

 日本では現在、最古のものは縄文早期の生活賦としての麻で、弥生時代になると、ラミーが上流階級、大麻が一般民衆に使われ始めました。

 やがて中世になると、ラミーは上布、縮、晒布、などど呼称され、民衆の間に広まりました。鎧、冑の裏地には通気性がよく、汚れや汗に強いことから麻布が使われ、綿のおよそ2倍(ラミーは天然繊維の中で最高)というその強度から、矢を通さない必要のあった陣幕は絶対に麻でなければなりませんでした。


 近江上布の歴史

 近江上布の起源は古く、鎌倉時代に到るとされており、室町時代には近江商人が近江上布を全国に売り歩いていたという記録が残っています。江戸時代になると、彦根藩の保護統制のもとに、着尺地、蚊帳地などが盛んに生産されました。
 蒸し暑い夏のある京都という消費地を控え、琵琶湖湖東の湿潤な気候が麻を織るのに大変適していたことが、さらに近江上布を育みました。
 また、京都という目の肥えた市場に鍛えられて、単に伝統のみでなく、時代に生きるデザイン性と質の高さを生み出してきたのです。


 

 麻の熱伝導性は、天然繊維のなかで、最も優れており、、熱遮断性が小さいこととあいまって、冷涼感のひとつの要素となっています。

 絹の長い繊維「フィラメント」に対して、麻は「ステープル」という短い繊維を集めて紡いだ紡績糸「スパンヤーン」で、一つ一つのステープルは大変緻密な構造を持っています。このステープルに光が反射して、清涼感とシャリ感がありながら懐かしい、“ぬくもり”も感じさせる、そんな麻独特の光沢と“手ざわり感”を生み出しています。

 また、洗濯によって汚れが落ちやすく、柔らかさがすすみ、感触がさらによくなり、手になじむようになるのです。緻密な繊維構造のため、ケバもたちません。


 

 時代とともに技術にも工夫が加えられ、また今も様々な技が考え続けられ、他の素材とミックスした新しい感覚の麻などが生まれています。(「コラボレーション」をご覧ください)
 伝統の技術や素材、文様などをベースに、現代に生き、使えるものをという考え方で、「今」のセンスを取り入れながら、風土に合った天然素材を使い、その特性に合った加工をするために、いまだ手仕事を残しているのです。


 一枚の布を手にとってみる、そんなところから麻布の力を感じてみてください。